古今東西!コインケース
江戸時代までのお話ですが、
お財布は、日本とヨーロッパでデザインが大きく異なりました。
それは文化的背景により、硬貨の形状の違いと深い関わりがあったからです。
ヨーロッパの硬貨は、権力者の権力誇示のシンボルでした。
肖像などの図像を入れているので、纏めるための財布が発達しました。
古代ギリシアでは、小額の場合口の中に入れて持ち運んだそうです。
一方、日本では硬貨に利便性を求めていました。
中央に四角い穴があけられ、江戸庶民は、
この穴に緡(さし)という紐を通して100文ずつまとめ、
持ち運ぶ習慣がありました。これだと財布も要らず、
使う分だけ紐から抜けばよかったので、とても便利でした。
丸い穴のものがあってもよさそうですが、
708年に、鋳造・発行された日本初の流通硬貨、和同開珎(わどうかいちん)から
幕末の寛永通宝に至るまで、四角い穴ばかりでした。それはなぜでしょうか?
硬貨はまず、鋳型に鎔銅の流れる湯道ををつけ、鎔銅を流し込んで成形します。
冷却後、中身を取り出すと枝に硬貨が成った様な形が出来ます。
硬貨を枝から取り外していきますが、円形では無くその縁にはみ出た余計な凸が出来ているので、ヤスリで仕上げなければなりません。
1枚1枚作業していたのでは手間がかかる為、何十枚も棒に通しまとめて行います。
四角い穴はその棒を通す為のもので、穴を四角にしたのは、
ヤスリをかける際丸い穴だと硬貨が回転し、作業しづらかったからです。
ヨーロッパとの交流が無ければ、
「コインケース(きのこ店長)」は「緡(えのき店長)」になっていたかも知れません。
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